あやかし螺紋2 「名前をつけて」
2007年6月14日 07:44
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放課後、昇降口に向かう廊下で、小さく聴こえてくるピアノの音。
音楽室で誰かが弾いているのだろう。
立ち止まって―「きれいな曲だね、なんていう曲だろう」―わたしが訊く。
「たしか、・・・「青春の輝き」って曲だよ」―カナが答える。
「作曲家、だれ?」
「作曲家って・・・、クラシックじゃないよ。カーペンターズの曲だよ、ゆっこ」
カナがほほえむ。高校ではじめてできた、わたしの友達。
編入してきた日、最初に話しかけてきてくれたクラスメイト。
明るくてやさしくて可愛い大好きな女の子。
ただ時々わたしの胸をさわってきて「いいなー巨乳」と言うのは、恥ずかしいので
やめてほしい。
―ふと、何かの気配を感じて振り向くと、そこには
―小さな黒猫が、わたしを見上げている。両肩に白いうずまきの模様がある。
嫌な感じがする。・・・この世のものではない。
「どうしたのゆっこ?」カナがわたしの視線の先と顔を見比べて言う。
カナにはこの猫が見えていないのだ!
「名前をつけて」
―わたしたちと同じ年齢くらいの、女の子の声がした。
―猫がしゃべってる!わたしに話しかけているのだ!
「あなた、あたしに名前をつけてちょうだい」
「ちょっと!どうしたのゆっこ!」―カナには猫の声はきこえていない。
「ごめん。なんでもない。帰ろう」カナの背中を片手で押して、歩きだす。
5メートルほど進んで振り向くと、猫は消えていた・・・。
