あやかし螺紋48 「囚われて―謎の教師」
2008年6月21日 18:33
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カレンはカナとハルに支えられて部屋の外へ出た。まだ体中に軽い痺れがあるが
一刻も早く周囲の状況を知りたかった。
隣にはカナの部屋があった。蛾妖子によって運びだされた、彼女の持ち物がそっくり置かれていた。
ベッドも鏡台も、配置まで同じに。
隣接して、ウォシュレット付のトイレ、バスルームも完備されていた。
食堂もあり、テーブルに着けば、蛾妖子が食事を運んできてくれるという。
カナ曰く、―「とても美味しい」
並んだ部屋をT字につなぐ道を行くと天井の高い場所に出た。
カナの指差す、十メートル程の高い位置の壁に、穴があった。そこから蛾妖子が出入りしているようだ。
壁は平面で、穴の位置は高く、そこまで上がれたとしても穴の大きさは幼児がくぐれるほどの物だ。
アオキさんグレートが出せれば、この岩壁を叩き壊せるだろうが、
カレンの今の状態では、暫く無理のようだった。
―つまり、ここから出られない。・・・
「ゆっこさま・・・」―壁に手をあてて、カレンはつぶやいた。
夕子は、仲間たちと共に、学園の廊下を進んでいた。リンもケイも制服に着替えていた。
―まだ昼休み前、授業中の時間だった。
カナ、カレン、ハルを助け出す。邪魔をするなら、斑野舞も榊姉妹も倒す。
強い決意を持って、図書室へ向かった。
奥の本棚は、夕子たちが前に立つと、黒い本を差し込むこともなく
ひとりでに地下迷宮への扉を開けた。
(この中に、カナたちがいる)
夕子たちは暗い穴へと歩を進めた。―その時
「そこで何をしている」―男性の声がした。
杖をついたグレーのスーツ姿の男、―美術教師のタカヤマがいた。
「授業中だぞ、・・・あっ!その穴は何だ?!」
タカヤマは杖の音を響かせ、近づいてくる。
「みんな、わたしにまかせて!先に行って」
怪事官、石動マキが、タカヤマの前に立ち、言った。
「マキさん!まかせます!」
夕子たちは急ぎ足で、地下の穴へと入っていった。
「君たち、待ちなさい!」
追おうとしたタカヤマの前に、マキが立ちふさがった。
「君は・・・ここの生徒ではないな?」―タカヤマが言った。
マキは、屋上で初めてこの教師にあった時、只者では無いと感じた。
あの屋上で夕子と闘う際、誰も近づかぬよう、結界を張っていたのだ。
それを越え、この教師はやって来た。二人と螺紋の前に。
この教師の素性を調べたが、怪しいところは無かった。
だが夕子も、この男とは、以前何処かで会った気がするという。
そして今また、わたしたちの前に現れた。
―マキは仕掛けた。タカヤマの顎に向けて、右の掌打を放った。
「!」
マキの右手首は、教師の左手によってつかまれていた。
軽量級のプロボクサーをも凌ぐ、高速の一撃を。
マキは合気柔術の技で投げようとしたが、相手はビクともしない。
「先生・・・あなたはいったい・・・?」
マキは訊ねた。
「俺の事、知りたければ教えよう。そのかわり・・・・・・」
